プロのヒーラーシェフ兼パティシエが、普通の鍋使用、浸水なしで、簡単ご飯の炊き方のコツ、海外で主流の調理用電気コンロ(Electric Stovetop)を使う場合のポイント、海外で買える様々な米の種類、目的別水加減などをご紹介します。
海外在住者、これから海外で長期滞在する予定の方は必見です。これを知ったら、何処へ行こうが、簡単に炊きたてのご飯を楽しめるようになります。
普通の鍋を使った炊飯は意外と簡単
シェフ・パティシエ養成コースでは、「Rice and Farinaceous Dishes(米と澱粉質の料理)」の時、ガスコンロで普通の鍋を使ってご米を炊きました。「鍋でご飯を炊く」と聞くと、難しいと思われがちです。しかし、実際は、「水加減」と「加熱時間」と「蒸し時間」さえ間違わなければ、意外と簡単です。なお、水加減は、お米の種類や使用目的によって異なります。
普通の鍋を使って炊飯できるメリット
普通の鍋を使って炊飯できる主なメリットは、以下のようなことが言えます。
- 停電などで炊飯器が使えない時、炊飯器が故障した時、ガスコンロがあれば炊飯できる。
- 電気が使えないキャンプ場でも炊きたてご飯が食べられる。
- 海外の滞在先で炊飯器がなくても、現地でお米買い、炊きたてのご飯が食べられる。
- 電気よりもガス、ガスよりも炭火で炊いた方が美味しい。
- 土鍋を使った方が美味しいが、土鍋の手入れなどを考えると、普通の鍋の方がお手軽。
海外に長期滞在の場合は炊飯器が便利
短期で海外に滞在する場合は、普通の鍋でご飯が炊ければ、十分かもしれません。しかし、長期に渡る場合は、出発前の日本の空港免税店で、日本のメーカーの自動炊飯器を購入されることをお勧めします。
自動炊飯器は海外でも販売されていますが、炊きあがりは、日本のメーカー品とは全く異なります。なお、蒸し器が付属している炊飯器なら、以下のブログ記事でご紹介しているように、炊飯しながら、一緒におかずを料理することができます。
[参考ブログ]How-To:簡単な料理作り・身体に優しい自家製グルテンミート唐揚げ&クマラ チップス、ヨーグルト アイオリ添え- 一人暮らしに最適
[参考ブログ]How-To:簡単な料理作り・身体に優しい自家製グルテンミートフライとクマラチップス – 一人暮らしに最適
[参考ブログ]How-To:自動炊飯器と鍋1つだけで簡単な料理作り・蒸しグルテンミート – 一人暮らしに最適
様々なお米の種類と特色
お米の種類と特色をご紹介します。それぞれにお米の特色が異なるため、目的に合ったお米選びは、料理を美味しく食べる上で重要です。もし、お米の選択を誤れば、折角の料理が台無しになり兼ねませんので、ご注意くださいね。
多民族国家では、最寄りのスーパーマーケットでも、様々な種類のお米が並んでいます。種類によって、日本で一般的なお米の食べ方には適さない米もあるため、特に海外でお米を購入する際は、注意が必要です。
残念ながら、ニュージーランドでは、国産のお米はありません。そのため、輸入品を買わざるを得ません。以下のブログ記事でご紹介している「身土不二(しんどふに)」で言えば、お隣オーストラリア産が、最も移動距離が短く、地球環境には優しいと言えます。
[参考ブログ]Info:丸ごとの旬の地場産食材は身体・財布・地球環境に優しい!
久しぶりに日本に戻り、日本産のお米を食べると、例え「標準米」でも、まさしく「銀シャリ」、1粒1粒がキラキラ輝いていて、モチモチして、ご飯だけでも美味しく食べられてしまいます。どちらが良い、悪いではなく、日本食に合うのは日本米だと実感します。日本で暮らしていた頃、白米だけを食べて感謝することはありませんでした。
ジャポニカ米(Japonica Rice)
ジャポニカ米(Japonica Rice):日本の短粒米(Short Grain Rice)です。日本米以外では、オーストラリア米のSunrice White Medium Grain Rice、カリフォルニア米のWonder Rose Medium Grain Riceなどがあります。玄米は「Brown Rice」と表示されています。
少し高めの寿司用米としてオーストラリア米のSunRice Japanese Style Sushi Riceがあります。しかし、日本米より、米粒が小さく、Sunrice White Medium Grain Riceとあまり大差ありません。
オークランドの中心市街地では、Japan Mart(ジャパンマート)などで日本米が買えます。私自身は、近所のスーパーマーケットでも買えるWonder Rose Medium Grain Riceを食べています。日本米とは、全く別物ですが、炊く時に水分量を増やし、炊きたては、美味しく食べられます。水加減については、「ご飯の水加減(標準)」で詳しくご紹介します。
最近は、新型コロナの影響による物流混乱(Logistics Disruption)で、お米も品薄のことがあり、選択の余地がないことも少なくありません。しかし、食べ物が買えるだけで感謝しなければいけないと感じます。
アルボリオ米(Arborio Rice)
アルボリオ米(Arborio Rice):イタリアの短粒米(Short Grain Rice)で、とても水の吸収が高く、リゾット(Risotto)に最適です。ニュージーランドでは、イタリア産のCarnaroli Rice(カルナローリ米)が買えます。
同じ短粒米(Short Grain Rice)でも、リゾット(Risotto)を作る際は、ジャポニカ米(Japonica Rice)よりも、アルボリオ米(Arborio Rice)をお勧めします。仕上がりが全く違ってきます。
バスマティ米(Basmati Rice)
バスマティ米(Basmati Rice):インド料理に使われる長粒米(Long Grain Rice)です。インディカ米(Indica Rice)とも言われます。ニュージーランドでは、SunRice Basmati RiceやKing’s Choice Basmati Rice などが買えます。こちらも、玄米があり、「Brown Rice」と表示されています。
サラサラしたインドカレーには、粘り気のある短粒米(Short Grain Rice)より、長粒米(Long Grain Rice)のバスマティ米(Basmati Rice)を使った方が、香りや食感などで適しています。
ジャスミン米(Jasmine Rice)
ジャスミン米(Jasmine Rice):タイ料理に使わる長粒米(Long Grain Rice)です。インディカ米(Indica Rice)とも言われます。タイ米の最高品が、ジャスミン米(Jasmine Rice)です。ニュージーランドでは、SunRice Jasmine Fragrant Riceなどが買えます。
タイカレーには、ジャポニカ米(Japonica Rice)より、ジャスミン米(Jasmine Rice)をお勧めします。ジャスミン米(Jasmine Rice)の甘く芳醇な香りとサラサラした食感が、タイカレーの美味しさを引き立ててくれます。
[参考本サイト]
体心魂に優しいカフェレシピ
自家製タイグリーンカレー
もち米(Glutinous Rice)
もち米(Glutinous Rice)は、日本だけではなく、以下の写真の製品はタイ産です。Blown Rice(玄米)とRed Rice(赤米)、Black Rice(黒米)は、全てもち米(Glutinous Rice)です。これだけで炊飯すると、真っ黒なご飯に仕上がります。水加減と炊飯時間は、玄米と同様です。
通常の白米を炊飯する際、1合(180ml)のうち、大さじ1杯分をこのお米で代替すると、赤飯のような感じに炊きあがります。アジア系の食材店で買えます。
ワイルドライス(Wild Rice)
ワイルドライス(Wild Rice):黒い長米(Long Rice)のように見えますが、実は、本当の「お米」ではなく、ナッツのような味がする「種」です。通常のお米より高めです。炭水化物を摂取しない「パレオダイエット(Paleolithic Diet:縄文式食事療法)」では、お米の代わりに使われます。
この食事療法は、塩はコーシャ塩(Kosher salt)のみで、砂糖や炭水化物などは摂取せず、肉や野菜、ナッツなどを摂取すると、縄文人のような筋肉質になると言われています。
個人的には、極端な食事制限よりは、三大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)のバランスを取り、適度な筋力アップで基礎代謝を上げることが、身体・心・魂の健康を維持する上で、重要だと考えます。
調理用電気コンロ(Electric Stovetop)を使う場合のポイント
調理用電気コンロ(Electric Stovetop)を使って、普通の鍋でご飯を炊く場合のポイントをご紹介します。海外では、ガスコンロよりも主流ですが、加熱調節が難しいです。熱くなるまで時間が掛かり、一旦、熱くなると、なかなか、弱まりません。
炊飯に調理用電気コンロ(Electric Stovetop)を使う場合、中火(時計の針で6時の位置)で加熱し始めて、沸騰しそうになったら、弱火(時計の針で3~4時の位置)にして、完全に沸騰し始めたら、時計の針で2時の位置に合わせることをお勧めします。なお、個体差があるので、加減して下さい。
もし、強火で加熱し始めた場合、一気に沸騰して、周りに吹きこぼれて、後の掃除が大変になります。熱板が焦げ付くと、なかなか、焦げ付きが取れません。また、味噌汁などを作る際は、弱火(時計の針で2~3時の位置)にセットすると、沸騰するまで多少の時間は掛かりますが、吹きこぼれを防止できます。
鍋を調理用電気コンロ(Electric Stovetop)に乗せて、強火で加熱する際は、その場を離れない方が最善です。一気に沸騰して、吹きこぼれることが多々あるからです。
ご飯の食品安全管理について
炊いたご飯は、セレウス菌(Bacillus cereus)による食中毒のリスクが高いため、保温する場合は、65℃以上で2時間以内として、冷蔵する場合は、急冷してから、覆いを掛けて保存し、24時間以内に使うことをお勧めします。
冷蔵保存したご飯は、食品の安全上、必ず75℃以上に加熱して、付着している細菌を死滅させた上で、お召し上がりください。再加熱は1回限りです。食品安全に関する基礎知識は、以下のブログ記事をご参照ください。
[参考ブログ]Info:Food Safety and Hygiene Fundamentals(食品安全衛生の基本)
冷凍すれば日持ちしますが、冷凍では細菌は死滅せず、ただ活動が止まるだけですので、面倒でも、必要な分だけを炊いて、直ぐに消費することが望ましいです。冷凍保存したご飯は、「雑炊」に使ったり、冷蔵庫内で自然解凍して、オーブンなどで「焼きお握り」にしたりすると、美味しく食べられます。その場合、お握り型にしてから、冷凍すると便利です。
幸か不幸か、こちらで買えるお米は、日本産のお米と違い、炊きたてでないご飯は、極端に味が落ちるので、毎回、炊くようにしています。また、日本では、冷凍の焼きお握りが買えるので便利ですね。
ご飯の水加減(標準)
ニュージーランドのシェフ・パティシエ養成コースの「Rice and farinaceous dishes(米と澱粉質の料理)」で習った「炊飯 (Steam Rice)」の水加減は以下の通りです。普通の鍋を使う場合も、自動炊飯器の場合も、同様です。
「米:水」=「1:1.1」=「150g (180ml):200ml」
しかし、上記の水加減で、海外産の短粒米を浸水なしで炊いた場合、日本人にとっては、とてもパサパサした仕上がりとなります。
そこで、以下の水加減に変えると、海外産の短粒米を浸水なしで炊いても、日本米の炊きあがりに近づき、とても食べやすく変わります。「こんなに水を入れて大丈夫?」と思うかもしれませんが、柔らかいご飯がお好みの方は、「1:2.5」ぐらいでも大丈夫です。
「米:水」=「1:2」 =「150g(180ml):360ml」
ただし、上記と同じ条件で、「すし飯」に使う場合は、標準の水加減の方がお勧めです。すし酢と混ぜると、丁度良く仕上がります。すし酢とすし飯の作り方は、別の機会にご紹介します。
下表は、パティシエ養成コースの「Rice and farinaceous dishes(米と澱粉質の料理)」で習った「炊飯 (Steam Rice)」と「ピラフ (Pilaf)」、「パエリア (Paella)」の水加減です。
「ピラフ (Pilaf)」と「パエリア (Paella)」は、水の代わりにスープストック(Soup Stock)を使います。「パエリア (Paella)」の水分量が多いのは、フライパンで蓋をしないでオーブンで仕上げるためです。
表:目的別の水加減一覧
※米1合は150g (180ml), コーヒーカップ:約150ml, マグカップ:約250ml
比率 | 分量 | |
炊飯 (Steam Rice) 米:水 | 1 :1.1 | 180ml (150g):200ml |
ピラフ (Pilaf) 米:ストック | 1 :2.5 | 180ml (150g):450ml |
パエリア (Paella) 米:ストック | 1:3.3 | 180ml (150g):600ml |
普通の鍋でご飯を炊く手順
- 深めの鍋がお勧め。
- 鍋に分量の生米を入れ、水を注ぎ、指先を使って、つまむように研ぎ、2~3回水を替え、一旦、水を切った後、分量の水を注ぐ。
- 蓋をして、中火で加熱する。
- 調理用電気コンロ(Electric Stovetop)の場合、時計の針で「6時」の位置がお勧め。
- 一旦、沸騰したら、弱火にして、20分加熱する(タイマーのセットをお勧め)。
- 沸騰後、5分ぐらいで吹きこぼれそうなるので、調理用電気コンロ(Electric Stovetop)の場合、一旦、鍋を熱源から外し、吹きこぼれが収まったら、また、熱源に戻す。
- 10分経過すると、米が水分を吸収して、吹きこぼれの心配はなし。
- 調理用電気コンロ(Electric Stovetop)の場合、時計の針で「2 時」の位置に合わせると、火力が強すぎず、弱すぎず、丁度よい。
- お焦げを作る場合は、この状態で更に加熱する。
- 鍋を熱源から外し、蓋をしたまま10分蒸らす。
- 蓋をしたまま10分間蒸らした後、蓋を開けた状態。
- ふっくらご飯の炊きあがり。
- 再加熱は味や食感が劣るので、雑炊などがお勧め。
- 普通の鍋を使っても、焦げ付きなし。
ソウルフード(Seoul Food)「ご飯」で癒される
いくら、自らの意思で、海外暮らしをしいても、子どもの頃から慣れ親しんだ食べ物は、身体・心・魂を癒してくれます。特に、お握りを食べると、ホッとします。例え、日本で買える白米や海苔の品質とは、大きく違っていたとしても・・・。
以前、オーストラリアで、日本からのゲストへ滞在型の癒しを提供していた頃、ゲストに海苔のお握りをご用意したら、とても感激された方がいらっしゃいました。やはり、お握りは、日本人のソウルフードなのかも知れませんね。
日本だったら、コンビニへ行けば、殆ど24時間いつでも食べられます。しかし、海外では、自分で作るしかありません。お陰で、日本を離れて暮らすようになって、食べ物へ感謝する気持ちを育めるようになりました。
まとめ
プロのヒーラーシェフ兼パティシエが、簡単に普通の鍋で、浸水なしで、ご飯を炊くコツ、海外で主流の調理用電気コンロ(Electric Stovetop)を使う場合のポイント、海外で買える様々な米の種類、水加減などをご紹介しました。
海外在住者、これから、海外で長期滞在する予定の方は、これを知ったら、何処へ行こうが、簡単に炊きたてのご飯を楽しめるようになりますね。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。
Tadashi