プロのヒーラーシェフ兼パティシエが、シェフ・パティシエ養成コースの「食の倫理」に関する講義の中で見た映画「ファーストフード・ネイション」を食べ物の波動の視点でご紹介します。
この映画は、ドキュメンタリードラマ(Documentary Drama)です。食の安全に関心のある方のみならず、これからシェフやパティシエを目指す方々に、是非ともお勧めする映画です。
この映画は、もし、「ファーストフード=悪い」という先入観で見た場合、根底にある問題が見えなくなる恐れがあります。「安くて美味い」を支えている「陰の存在」を知る必要があります。
「知らなかった」では、済まされません。なぜなら、その「陰の存在」から発せられたエネルギー(氣)は、食べ物を通じて我々の体内に伝わるからです。飲食業が持続するために不可欠な要素をご紹介します。
一方的に企業を批判しても何も変わりません。むしろ、他者を批判するエネルギー(氣)は、回り回って、己に戻ってくるものですから、得策ではありません。それよりも、消費者行動を変えることが、最も有効です。
なぜなら、現在の企業の姿勢は、過去の消費者行動に応じたものだからです。ファーストフードも、「安くて美味い」を望む消費者行動の結果、生まれたものと言えます。地元の伝統的な食文化や食材を見直す運動として「スローフード(Slow Food)」がありますが、便利なファーストフードに対する需要は依然としてあるのが現状です。
民間企業は、良くも悪くも、利益を上げなければ、存続できません。株式会社であれば、株主に利益を還元しなければなりません。薄利多売という言葉がありますが、それは、安いものを大量に売らなければ、利益にならないことを意味します。
民間企業は、1円でも安くて良いものを求める消費者ニーズに応えなければ、存続できません。食べ物であれば、「安くて美味い」が喜ばれます。よく「企業努力」という言葉を見聞きしますが、必要な経費を削減しながら、利益を生み出さなければなりません。
誰でも、同じ製品であれば、わざわざ、値段が高い方を買いませんよね。私自身、オーストラリアで主夫だったころは、特売の時に、まとめて購入していました。定価を高く設定し、「特売」として販売する企業を批判できないと思います。
例えば、飲食店の場合、主要な経費は、家賃・光熱費と材料費、人件費の3つです。この中で削減し易いのは、材料費と人件費です。企業としては、少しでも良い食材を安く仕入れ、少しでも優秀な人材を安く雇いたいものです。
シェフ・パティシエ養成コースのメニュー計画で学習しましたが、家賃・光熱費が30%、食材費が30%、人件費が30%で、残り10%が粗利です。しかし、オーダーミスや調理ミスが続けば、あっという間に、粗利が吹っ飛んでしまいます。
どこの国でも、自国民がやりたがらない「3K(きつい・汚い・危険)」と言われる仕事は、移民労働者によって賄われている場合が多いです。土木建設、看護・介護、清掃だけでなく、シェフやパティシエの仕事も含まれます。
ニュージーランドやオーストラリアでは、カフェやレストランでは、多数の移民労働者が働いています。両国とも、日本よりも労働者の権利が強く、アルバイトでも有給休暇だけでなく、病気休暇や育児休暇もあり、祝日に働くと時給が割り増しになります。
日本人の感覚では理解し難いことですが、様々な理由で自国へ戻ることが選択肢にない移民達の多くは、永住権を取得するため、自国民がやりたがらない仕事を率先していました。中には、ビザをサポートする条件で、不法に安く雇用されている場合も少なくありません。
「安くて美味い」を望む消費者行動が、すし詰め状態で飼育されたり、疫病防止のために薬品を投与したりする結果を生み出していると言えます。しかし、その恩恵で、低所得者でも食べ物を買うことができることも忘れてはならないと思います。何事も、単純に善し悪しを断言できないものなのですね。
また、大量生産は、ブログ記事「How-To:持続可能な作物ジャックフルーツ / 簡単食べ方 + α」の中の「肉食を減らすだけで救える命」でご紹介したように、水不足や穀物(飼料)不足で困っている人々に悪影響を及ぼしていることも忘れてはならないと思います。
アメリカで制作され、2006年に公開された映画です。映画の舞台は、架空の大手ハンバーガーチェーン会社で、バーガーパテの大腸菌混入事件が発端となり、食品衛生や労働環境、移民問題、環境問題などの現状が明るみになります。
ここの映画は、ドキュメンタリー(Documentary)を試みつつも、撮影困難と判断し、ドキュメンタリードラマ(Documentary Drama)とした経緯があり、撮影は極秘で行われたそうです。
現場では、食の安全性よりも収益を優先させる体質が蔓延し、従業員の士気は低く、食品衛生の問題が満載の場面が続きます。丁度、シェフ・パティシエ養成コースでは、食品衛生について学んだ後だったので、「間違い探し」のような感覚で見ていました。
密入国せざるを得ない移民たちが置かれた状況、密入国する場面、モーテルの1室に10人近くが共同生活している場面、英語を理解しないまま危険な作業に従事する場面など、弱い立場にある密入国の移民達が、「奴隷」のように劣悪な環境で暮らす状態を映し出していました。
広大な赤土で緑の牧草が生えていない乾燥した牧場で、狭い柵の中に押し込められた牛たちが、乾燥した飼料を食べている映像が強烈でした。その光景を見ながら、人間として、彼らに申し訳ない気持ちで一杯になりました。
貧困な母子家庭で、長時間労働の母は、子どもに食事を作る時間もなく、また、「身体に良い」とされる食材を買うお金もなく、脂肪分と糖分がたっぷりで安価に空腹を満たせるファーストフードを食べざるを得ない場面がありました。
食べ物の波動の視点から、以下の2点が言えます。
本サイト「食の倫理とは」でご紹介しているように、シェフ・パティシエ養成コースの理論では、毎回、必ず「食の倫理(1.生産労働者環境、2.生育環境、3.地球環境)への配慮」について学びました。
また、本サイト「食に関わる聖者の御言葉集」では、インドの聖者、サティヤ・サイ・ババ様による、食に関わる御言葉集を引用しながら、食べ物が所有するエネルギー(氣)は、それを食べる人に大きく影響することをご紹介しました。
「食の倫理への配慮」は、他者のためだけでなく、それを体内に取り入れる自分自身のためでもあります。その理由は、以下の通りです。
食べ物の波動の観点から、「食の倫理への配慮」を考えると、この映画のような状況下で製造された食品の波動には、「劣悪な環境で働いた労働者」及び「劣悪な環境で飼育された動物」のネガティブ(辛さ・恨み等)なエネルギー(氣)が伝わっていると言えます。
プロのヒーラーシェフ兼パティシエが、シェフ・パティシエ養成コースの「食の倫理」に関する講義の中で見た映画「ファーストフード・ネイション」を食べ物の波動の視点でご紹介しました。
他者を批判するよりは、できることから、1つ1つ消費者行動を変えていくことが得策と言えます。なぜなら、他者を変えるより、自分自身が変わった方が、手っ取り早いからです。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。
Tadashi
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