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How-To:持続可能な作物ジャックフルーツ / 簡単食べ方 + α


プロのヒーラーシェフ兼パティシエが、ジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)の食べ方、持続可能な作物である理由などをご紹介します。海外の菜食主義者(Vegetarian)ヴィーガン(Vegan)から注目されている代替肉です。細断肉のような食感ですが、タンパク質の含有量は少なめです。

通常、輸入品のジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)は、身土不二(しんどふに)ではありませんが、持続可能な作物ですから、多量の仮想水(Virtual Water)を使う肉類より、地球環境に優しいと言えます。

以下のブログ記事で「身土不二(しんどふに)」についてご紹介しています。
[参考ブログ]Info:丸ごとの旬の地場産食材は身体・財布・地球環境に優しい!


ジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)の特徴

以下にジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)の特徴をご紹介します。


持続可能な作物

ジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)は、1本の木から毎年2~3トンの実が収穫できて、手入れは最小限です。

Ceres Organics > Organic Young Jackfruit から和訳引用

細断した肉のような食感

細断した肉のような食感のため、ベジタリアンやヴィーガンの代替肉として料理に使われます。

Ceres Organics > Organic Young Jackfruit から和訳引用

低タンパク質

含まれるたんぱく質は少ないため、他の高タンパクな食材と併用する必要があります。

ジャックフルーツ(Organic Young Jackfruit:100g当たり)の栄養素

エネルギー:364 kj
たんぱく質:1.5 g
脂肪:0.2 g
– 飽和脂肪:0.0 g
炭水化物:19.5 g
– 糖分: 0.0 g
食物繊維:6.0 g
ナトリウム:840.0 mg

Ceres Organics > Organic Young Jackfruit から和訳引用

無味

ジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)は、そのものには味がないため、味付けが必要です。逆に言えば、細断した肉のような食感を生かして、肉と同じ味付けにすれば、美味しく食べられます。


簡単な食べ方

簡単にジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)を食べる方法は、細断した肉料理であるプルドポーク(Pulled Pork)のように味付けすることです。

海外のレシピでは、BBQ風にしている場合が多いですが、やっぱり、日本人には照り焼き風(Teriyaki)ですね。

具体的には、サンドウィッチ(Sandwich)やサラダ(Salads)、タコス(Tacos)の具材、ご飯の上に乗せて丼ものなどが考えられます。


肉食を減らすだけで救える命

以下に、精肉を生産するためは、多量の水と作物(飼料)が必要なことをご紹介しています。現在、世界中で水不足と食糧不足が問題になっています。肉食を減らすだけで、救える命があるという事実は、同じ人間として、知っておく必要があると考えます。

何事も我慢では長続きしません。しかし、肉のような食感の代替肉であれば、持続可能になります。1人でも多くの方が、週に1回、月に1回でも、代替肉に変えるだけで、地球全体で見たら、大きな違いがあると考えられます。

ただ、肉食しない人が偉いというわけではありませんね。肉食の風習は「身土不二(しんどふに)」に基づいた食文化ですから、尊重されるべきです。大切なことは、全ての食べ物は大自然からの恵みですから、大事に感謝して頂き、決して、無駄にしないということです。

また、大自然は全て調和が保たれていますから、「自分さえ良ければ」という発想では済まされず、回り回って、そのツケが身に降りかかってくるものです。


牛肉を食べる頻度を減らすだけで節水できる

世界中の人々が、牛肉を食べる頻度を少なくするだけで、相当な水の使用を抑えることができる

隠れた水 ― Beneath the Surface世界水の日報告書 2019(WaterAidhttps://www.wateraid.org/jp/sites/g/files/jkxoof266/files/2019beneath-the-surface.pdf から一部引用

完全菜食主義の場合、水の供給に与える影響は約19%低くなる

Poore, J. and Nemecek, T. (2018). ‘Reducing food’s environmental impacts through producers and consumers,’ in Science, Vol. 360, pp. 987–992. http://science.sciencemag.org/content/360/6392/987 から引用

牛肉は多量の仮想水(Virtual Water)を使う

仮想水(Virtual Water)とは、農産物畜産物生産に要したのことをいいます。下表は、環境省Virtual Water(仮想水)「バーチャルウォーター量自動計算」を用いて算出した食品別の仮想水(Virtual Water)量です。

下表から、肉類、特に牛肉が、断トツで仮想水(Virtual Water)量が多いことが分かりますね。


表:主な食品別の仮想水(Virtual Water)量

仮想水(Virtual Water)量
牛肉(200g)4,120Lt
豚肉(200g)1,180Lt
鶏肉(200g)900Lt
卵(3個)538Lt
豆腐(1丁)63Lt
小麦粉(1カップ,250ml)210Lt

出典: 環境省 | Virtual Water(仮想水)「バーチャルウォーター量自動計算」を使用
https://www.env.go.jp/water/virtual_water/kyouzai.html


世界の水不足問題

世界中で水不足が問題となっています。国土交通省 のサイトに掲載の「水資源問題の原因」を見ると、その原因は、人口の増加や気候変動、水紛争などだそうです。もし、肉を食べる量を減らせば、その仮想水(Virtual Water)で、渇水で困っている人々の命が救えるのであれば、食べる頻度を考える必要があると言えますね。
[出典]国土交通省 > 水管理・国土保全 > 水資源 > 水資源問題の原因

厚生労働省のサイトによると、人間が1日に必要な水分摂取量は、年齢や体重で違いますが、成人で2.5Ltだそうです。例えば、牛肉一人前(200g)に必要な水は4,120Ltで、約1,600人が1日に必要な水の量です。

[参考サイト] 水の必要量を算定するための根拠厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586571.pdf


限られた使用可能な水資源の真実

水の惑星・地球は、表面の7割が水で覆われています。しかし、その殆どが海水(97.5%)で、かつ、淡水の大半が氷河・氷山(約70%)と地下水で、人間が利用しやすい河川・湖沼は淡水の約0.4%です。
出典:環境省 > 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書 > 第4章 水の星地球-美しい水を将来へ - 第1節 地球とわが国の水環境の状況


多量の水を使う農作物もある – 事例:カリフォルニアアーモンド

ただ単純に、肉食を止めて菜食主義にすれば、地球環境に優しいかというと、そうではないと知りました。食べ物を選ぶ時は、何処の場所で収穫または生産されたものか、その食品の収穫や生産が周辺の環境に与える影響まで考慮する必要があるのですね。

Mother Jonesのサイトによると、1粒のアーモンドを生産するためには、1.1ガロン(約4.2リットル)の水が必要だそうです。アメリカ西海岸のカリフォルニアはアーモンドの産地として有名ですが、水不足の問題を抱えているそうです。
[出典]Your Almond Habit Is Sucking California Dry (July 14, 2014) | Mother Jones


肉食を減らすだけで穀物(飼料)の需要を減らせる  

いくら、国内産の肉でも、日本の場合、その飼料の大半は輸入品です。下表は、国内生産の精肉1kgに必要な飼料をとうもろこしに換算した量です。

もし、肉食を減らせば、穀物(飼料)の需要が減り、その分は、穀物を必要としている人々へ行きわたらすことが可能です。

精肉200gで換算してみると、牛肉で2.2kg、豚肉 で1.2kg、鶏肉で0.8kgのとうもろこしが必要なのですね。


表:精肉1kgの生産に必要な穀物量(とうもろこし換算)

精肉1kgの生産に必要な穀物量(とうもろこし換算)
牛肉11 kg (2.2 kg / 200g)
豚肉6 kg (1.2 kg / 200g)
鶏肉4 kg (0.8 kg / 200g)

[出典]農林水産省 > 食料自給率のお話(連載) >  その4:お肉の自給率 「6. 畜産経営と飼料」から引用
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html    


ヴィーガンプルドジャックフルーツのレシピ

以下に、身体・財布・地球環境に優しい持続可能な作物ジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)の缶詰を使った照り焼き(Teriyaki)風のレシピをご紹介します。


ヴィーガンプルドジャックフルーツの材料(2人分)

以下にヴィーガンプルドジャックフルーツの材料をご紹介します。しょう油とデーツシロップだけで簡単に照り焼き(Teriyaki)風の味になります。精製砂糖を使わないので、ヴィーガン(Vegan)の方でも食べられます。

ここでは、既に旨味が濃縮されているオニオンフレークやガーリックパウダーを使うので、簡単で、かつ、ノンオイルで料理できます。生のオニオンやガーリックを使う場合は、以下のブログ記事でご紹介している「Sweat & Deglaze, Simmer」のスキルで使えば、素材の旨味を引き出せます。
[参考ブログ]How-To:料理の基本3スキル – Sweat & Deglaze, Simmer

○オーガニックヤングジャックフルーツ(Organic Young Jackfruit,400g):1缶
○オニオンフレーク:適量
○ガーリックパウダー:適量
○しょう油:大さじ3杯
○デーツシロップ:大さじ3杯
○チリフレーク:適量


ヴィーガンプルドジャックフルーツの作り方

以下にヴィーガンプルドジャックフルーツの作り方をご紹介します。

  • 缶入りのジャックフルーツは、汁を捨て、ボウルの中でよく水洗いした後、ザルで水切りする。
  • 左写真の一番左側の赤線の位置で、芯の部分を切り落とし、更に細かく刻む。
  • 他の部分も、大まかにほぐす程度に切り分ける。
  • 鍋に処理したジャックフルーツ、オニオンフレーク、ガーリックパウダーを入れ、全材料が浸るように水を注ぐ。
  • 鍋に蓋をして加熱し、一旦、沸騰したら、火力を弱め、約20分加熱する。
  • ジャックフルーツが柔らなくなったら、しょう油、デーツシロップ、チリフレークを加え、汁気が無くなるまで加熱する。
  • 味見をして、味を調える。
  • オーブン用のトレーに広げ、180℃のオーブンで表面がカリカリになるまで加熱する。
  • オーブンを使わない場合は、鍋に少量の油を入れて、軽く焦げ目が付くまで加熱しても可。
  • あら熱が取れてから、サンドウィッチやサラダに使う。

参考:プルドジャックフルーツのサンドウィッチ

トップの写真のサンドウィッチは、以下の簡単パンを水平方向にスライスして、その両面に以下の簡単手作りマヨネーズを塗り、サラダリーフ、冷めたジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)照り焼き風(Teriyaki)を乗せて、赤ピーマンとオニオンの自家製サルサ(Salsa)をトッピングしています。

ヴィーガン(Vegan)の方の場合、以下のマヨネーズの材料の卵黄を「アクアファバ(Aquafaba:ひよこ豆の煮汁)」で代替してください。


まとめ

プロのヒーラーシェフ兼パティシエが、ジャックフルーツ(Jackfruit:パラミツ)の食べ方、持続可能な作物であること、海外の菜食主義者(Vegetarian)ヴィーガン(Vegan)から代替肉として注目されている理由などをご紹介します。

タンパク質の含有量は少なめですから、乳製品や豆類などで不足分を補い、体・心・魂の健康のために、三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)のバランスが取れた食生活をお勧めします。

今回も最後までご覧いただきありがとうございます。

Tadashi


Tadashi

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