今回は、インストラクターとして同行した海外ダイビングツアーで、往路の飛行機が欠航したり、遅延したりした旅行大変談をご紹介します。不幸中の幸いで、今振り返れば、目には見えない神聖な存在へ、守り導かれていることを感謝すべきでした。しかし、当時の私は、少し自分の思い通りにならないだけで、すぐに不平不満を抱きがちでした。
以前に、「愛の力は飛行機さえも遅延させる」と驚愕した体験をご紹介しましたが、今回は、家内と付き合う前の話です。長く生きていれば、突然、飛行機が遅延したり、欠航したりすることにも遭遇するものなのですね。
このような時には、どのような状況でも「常に幸せでいる」ためのヒントが隠されているように感じます。なぜなら、「真の幸せ」とは、周りの状況には左右されないからです。まだまだ、未熟なため、つい、一時的な快楽を求め、それが「幸せ」と感じがちです。しかし、ほんの一瞬で、永遠に持続しないことが多のですが・・・。
前置きが長くなりましたが、それは、日本のスクーバダイビングのプロショップに所属していた時でした。オーナーのご厚意で、オーストラリアの自然遺産・グレートバリアリーフで潜る少人数制の海外ダイビングツアーを企画・催行させていただけました。
滞在先は、Port Douglas(ポートダグラス)でした。当時、ヤシの木よりも高い建物の建設は禁止されていて、熱帯雨林に埋もれたような雰囲気のリゾート地でした。しかし、メインストリートには、洒落たカフェやレストランが建ち並び、アフターダイビングも満喫できます。
そして、潜る場所は、浅場のサンゴがきれいなAgincourt Reef(エイジンコートリーフ)でした。この海に魅せられ、アマチュアダイバーの頃から、頻繁に通い続けていました。次第に、オーストラリアの入国審査官から怪しまれるくらいでした。
当時、いつもお世話になっていたショップのお客さんへ、ここでの素晴らしい体験をご紹介したい一心で、ツアーを企画したいと思いました。当時のデジカメで撮影した海中と陸上の動画でプロモーションビデオを制作したり、案内リーフやポスターを作成して店に掲示したり。
その時は、その海外ダイビングツアーの引率スタッフとして、お客さんを連れて成田発ケアンズ行きの飛行機を待っていました。2度目のツアーだったので、多少の余裕もありました。
「ケアンズ行きは到着便の遅れのため、出発も遅れます。」とアナウンスが流れました。その後、今度は、「機材が不良のため、欠航になります。代替便を用意していますので、しばらくお待ち下さい。」とアナウンスが流れました。何か嫌な予感がしました。
しばらくして、「搭乗口にお越し下さい。」とのアナウンスが流れました。丁度、その日、なぜだか、シドニー行きの出発も遅れていました。
急いで搭乗口へ行くと、特に詳しい説明はなく、「飛行機が待っていますから、急いで別の搭乗口へお回り下さい。」と言われ、新しい搭乗券と交換。お客さんを連れて、急いで搭乗。折角、窓側の座席だったのに、中央の席でした・・・。
離陸後、機内ではシドニー空港の案内が上映。どうやらシドニー行きの便に乗った感じでした。てっきり、臨時でケアンズを経由すると、勝手に思い込んでいたのですが、見当違いでした。お客さんを連れていたので、表面的には冷静を装いつつ、内心は「どうしよう・・・」と不安がよぎりました。
お客さんに悟られないように、乗務員の所へ行って確認すると、「シドニーでケアンズ行きに乗り換えて下さい。詳しくは空港の係員に聞いて下さい。」と言われました。嫌な予感は、現実のものとなりました。しかし、自力ではどうしようもないので、成り行きに任せるしかありませんでした。
無事、シドニー国際空港に到着。地上係員から、乗換時間が1時間しかないと告げられます。しかも、入国審査の後、一旦、機内預け荷物を受け取り、税関を済ませて、国内線ターミナルまで移動しなければなりません。絶対に間に合わないと思いました。
シドニー空港の国際線ターミナルから国内線ターミナルまではバスで移動しなければなりません。国際線ターミナルは、大混雑でした。機内預け荷物が出てくるまで、相当な時間がかかり、入国審査と税関も長蛇の列でした。案の定、ケアンズ行きの出発時刻は過ぎてしまいました。
「これは航空会社の責任だから、何とかしてくれるだろう」と思いつつも、内心では、この先どうなるのだろうかと、とても心配でした。自分だけなら、まだしも、お客さんを連れていましたので・・・。
やっと国際線の到着ロビーに出て、同じターミナル内にある国内線チェックインカウンターを探し当て、搭乗予定の飛行機の出発が遅れていることを確認して一安心しました。ここで機内預け荷物を渡すことができたので、国内線ターミナルへの移動が容易で助かりました。
かつて、シドニー空港を頻繁に使っていましたが、2000年のシドニーオリンピック以降、一度も来ていなかったので、国際線ターミナルも国内線ターミナルも、全く様変わりしてしまい、とても戸惑いました。
無事に、国内線ターミナルに移動し、ケアンズ行きの搭乗ゲートまで辿り着きました。いつも夜行便では、熟睡できないので、まるで徹夜明けのようで、心身ともに疲労困憊していました。しかし、一向に搭乗が開始する気配はありませんでした。やっと到着した飛行機が、途中で雷に打たれたため、機体の確認に時間が多くかかるとのアナウンスが流れました。
ケアンズ空港から滞在先のポートダグラスまでは、事前に送迎バスを予約していました。とうに到着予定時刻が過ぎてしまっていたので、ケアンズ空港に到着後、案内窓口まで出向き、事情を説明し、追加料金なしで、次の送迎バスを手配できました。
この日、結局、ホテルに到着した頃は、夕方でした。予定の飛行機に乗っていれば、朝に到着して、街中を散策する予定でした。旅のハプニングは楽しみの一つかもしれませんが、お客さんを連れている時はハラハラさせられます。
翌朝からは、全行程が予定通りでした。2日間、1日3回、合計6回のダイビングを満喫し、帰国前日は、熱帯雨林の散策やマングローブのクルーズを楽しむツアーに参加し、往路は何の問題もなく、無事に帰国の途につきました。1回目と同様に、今回のお客さんにも喜んでいただけたのが、せめてもの救いでした。
以前にご紹介した記事「飛行機の遅延」、今回は「飛行機の欠航に遅延」と、旅行では、いろいろな事が起こるものす。しかし、スクーバダイビングのプロトレーニングを通じて学んだように、どのような状況でも、臨機応変の対応は重要です。
スクーバダイビングの講習では「ストップ(Stop)・シンク(Think)・アクション(Action)」というものを学習します。水中で何かトラブルが発生した時は、まず「全ての動作を止め(ストップ)」、次に「どうすれば良いかを考え(シンク)」、そして「冷静に行動する(アクション)」という行動パターンで、パニックを防ぐために有効な手段です。
水中では、空気の供給が途絶えたら、生命の危険にさらされます。しかし、最も危険なのは、パニックに陥ることです。なぜなら、正常な判断が阻害されてしまうからです。ある意味、地上なら、空気が途絶えることはありません。それならば、何が起こっても動じないタフさが必要なのですね。
これは余談ですが、日本人が「think(考える)」を発音する際、どうしても「sink(沈む)」になってしまいます。なぜなら、「th」の発音は、日本語にはないからです。「r」と「v」の発音もしかりです。
どんなに頑張っても、完全に日本語訛りを無くすことは、困難なので、以上の単語を発音する時は、口の形を大げさにして、ゆっくり発音するように心がけています。大抵は、正しい発音で言い直してくれるので、「そうそう、それ!」という感じで、なんとか通じます。
話が逸れてしまいましたが、「真の愛(宗教でいう「愛」)」は、この時も、既に、私でも乗り越えられる程度のハプニングに治めてくださったのだと思えます。もし、この時、シドニー行きが離陸した後だったら、その日にケアンズへ到着することは不可能でした。
そして、乗り継ぎ時間が少ない飛行機も、落雷という方法で、出発を遅らせて、間に合うようにしてくださいました。お陰で、翌日からのダイビングには、無事に参加できました。まさしく、不幸中の幸いでした。
本来なら、あの時、不平不満を抱くのではなく、「真の愛(宗教でいう「愛」)」が守り、導いてくださったことに感謝すべきだったのですね。以前にも書きましたが、日本で暮らしていた頃は、幸か不幸か、自己信頼と信仰心がなくても、自力でなんとかなっていました。
しかし、それでは、真の幸せに気づくことは出来ませんから、私がオーストラリアへ呼ばれ、更にニュージーランドまで辿り着いたのは、「自力ではどうにもならない状況」になって、自己信頼と信仰心の重要性に気づくためだったと考えると、とても腑に落ちます。
今回は、インストラクターとして同行した海外ダイビングツアーで、往路の飛行機が欠航したり、遅延したりした旅行大変談をご紹介しました。この体験を通じて、例え、自分の思い通りにならない状況でさえ、不平不満を抱くよりは、感謝できることを見いだす方が、自分が得すると感じたことをご紹介しました。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。
Tadashi
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